日本は男尊女卑なのか? ジェンダーに関する国際調査を比較してみる

時折「日本は男尊女卑国家である」という発言を耳にします。
その際根拠として持ち出されることが多いのが「ジェンダーギャップ指数」。
男女平等指数と訳されることが多いこの指数は毎年ダボス会議が出しており、教育や賃金など男女間の格差を調べ比較し、国ごとのランキング形式で発表されています。
日本は100位台の低い順位が定位置となっており、ランキングが発表される度話題になっています。

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しかし実際には男女平等や女性の暮らしやすさに関する調査、ランキングは他にもあり、それぞれ特徴があってそれによって国の順位も異なるということを以前こちらの記事(ジェンダーギャップ指数で日本が過去最低の114位に後退 一方でジェンダー不平等指数は21位の高順位 理由は?)で書きました。
その記事ではジェンダーギャップ指数の他はジェンダーインイクオリティ指数のみ扱いましたが、今回はそれ以外の調査ではどうなっているのだろうと思い、調べてみました。
それぞれの調査の特徴を理解した上で多角的に見ることで、日本のジェンダーの現状についてより正確にわかるんじゃないかと思います。

ジェンダーギャップ指数 gender gap index  149ヶ国中110位

まずはジェンダーギャップ指数。メディアで最もよく取り上げられる指標で、世界経済フォーラムが毎年各国をランキングにしてレポートとして発表しています。
男女平等指数とも訳されますが男女格差指数と訳した方が正確で、その名の通り男女の格差を重視して調査を行っています。

大まかに経済への参加・機会、教育、保健、政治の四分野で男女の格差が小さい、もしくは女性の方が優位にあるほど順位が高くなります。
日本は教育と保健では平均より若干上くらいですが、経済、政治で順位を下げており、特に女性の管理職数、賃金格差、女性議員数が低くなっています。

男女不平等指数 gender inequality index 160ヶ国中22位

こちらは国連開発計画(UNDP)が発表しているランキング。
この男女不平等指数は主に3つの要素から男女の不平等を計っています。
妊産婦死亡率と青少年出生率から導き出されるリプロダクティブ・ヘルス、女性議員の比率や中等教育就学率によって計られるエンパワーメント、労働参加率から計られる経済的ステータスの3つです。

日本はジェンダーギャップ指数と比べると、妊産婦死亡率や青少年出生率が低いため順位が高くなっていますが、女性議員の比率が他国と比べ目立って低く、足を引っ張っています。

女性にとって最高の国々 usnews.com Best Countries for Women 80ヶ国中18位

こちらはUSnews.comというニュースサイトが発表しているランキング。
人権、男女平等、所得の平等、進歩、安全の5項目について9,000人の女性へのアンケートを基に作成されています。
上位にはスウェーデンやデンマークといった欧米諸国が並んでいますが、日本はアジアの国としては最上位に位置しています。

Women Peace and Security Index 女性の平和と安全指数 153ヶ国中29位

ジョージタウン大学の研究機関であるGeorgetown Institute for Women Peace and Securityが発表しているランキング。
幸福、公正、安全の3つの側面から女性にとっての環境を評価しています。
日本は29位と比較的高い順位で、アジアでは10位のシンガポール、27位の韓国に次ぐ3番目の高さです。
日本は教育や金融包摂(金融サービスにアクセス出来ること)、治安といった面では高い数字になっていますが、雇用や女性が外で働くことを好まない点で若干順位を落としており、特に女性議員の少なさが順位を下げています。

Women, Business and the Law (WBL) 女性とビジネスと法律 187ヶ国中83位

最後に、世界銀行が発表しているレポート。
これは主にビジネスにおける女性の権利を評価したもので、雇用や起業についてどれだけ女性の権利が法律で保障されているかで各国をランキングに
しており、移動、就職、賃金、結婚、子供、経営、資産運用、年金の項目に分かれています。
具体的には居住の自由やパスポートの入手が認められているか(移動)、雇用機会均等、差別禁止、セクハラ対策(就職)、同一労働同一賃金が義務づけ
られているか、危険・辛い仕事を女性も出来るか(賃金)、法的に妻が夫に従うことを義務づけられていないか、男と同様世帯主、家主になれるか、
DV防止法があるか(結婚)、産休・育休の保障(子供)、契約や企業登録、口座開設の権利の保障(経営)、不動産や相続権が平等か(資産運用)、
年金受給年齢や定年が男女で同じか(年金)、等です。

日本は187ヶ国中83位。平均よりやや上といった所です。
資産運用、年金に関しては100点で最高、結婚、子供が80点、経営75点とそれなりです。
一方就職、賃金が共に50点でこの2項目が原因で順位が下がっていると思われます。
職場における男女平等に課題があるという点では他のランキングと共通しています。

まとめ

というわけで、ジェンダーに関するランキングと言っても実に様々な物があり、日本の順位もものによってバラバラであることがわかりました。
同じようなテーマでランキングを作っているのに何故こうも差が出るのかというと、調査をしている人間の価値観や考えが影響するからです。
これが一人当たりGDPだとか平均所得のように定義がはっきりしていて明確な数字が出せるものなら、調査方法で多少の差は出てもそこまで極端な違いが出ることはありません。

一方で男女平等だとか女性の暮らしやすさといったものに共通の定義やはっきりした基準はありません。なのでそれを調べてランキングにする際に基準を決めるわけですが、どんな条件を満たせば平等だとか、どんな状態が女性が過ごしやすいと言えるかは人によって違います。
男女の賃金や就職率に差が無いことか、女性も男性と同じかそれ以上に健康なことか、性犯罪に遭わないことか、あるいは主観的な幸福度か、調査者の価値観が反映されます。
そのようにどんな要素を取り上げるか、その中からどの項目を特に重視するかによって順位付けも大きく変わってきます。

従って、数あるランキングの中から一つだけを取り上げて殊更に強調するのはあまり意味がありません。
ここで重要なのはそれぞれのランキングがどんな性質のものなのか理解した上で、表面的な順位より中身をちゃんと見て今後の改善に活かすことです。
日本に関して言えば、順位はランキングによってバラバラなものの、教育や健康、治安等では概ね高評価を得ている一方ビジネスや政治において男女格差が大きいという点は多くのランキングで共通しています。
まとめると日本は教育や生活水準、医療など比較的女性にとって暮らしやすい国である一方、労働、ビジネスにおける男女格差が大きい、野心的なキャリアウーマンにとってはやりづらい国、ということになります。

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