日本に対し217件の勧告 国連人権理事会とは

<「報道の自由」勧告 日本政府が拒否(毎日新聞)>
<国連の人権巡る勧告、日本は死刑廃止など拒否 見解公表(朝日新聞)>
今月、上記のようなニュースがそれなりの大きさで取り上げられました。
その内容は、2017年11月に開かれた国連人権理事会の作業部会で日本に対し217件の勧告が出され、そのうち報道の自由や死刑に関するものを日本が拒否したというものです。

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何となくそういうことがあったんだとニュースを見て知っても、国連人権理事会やその勧告が具体的にどういう意味を持つものなのかよくわからないという人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は国連人権理事会とは一体何なのか、またそこで出される勧告の性質等についてまとめてみました。

国連人権理事会とは

国際連合人権理事会(United Nations Human Rights Council, UNHRC)は、”人権と基本的自由の促進と擁護に責任を持つ国連の主要な政府間機関”で、国際社会の人権状況の改善と人権侵害への対応に取り組む機関です。
前身として国際連合人権委員会という機関がありましたが、深刻な人権侵害国家が委員や議長になれてしまう等問題が多かったため、2006年に国連総会によって設置されました。

人権理事会は47の理事国から成り、総会の秘密投票によって直接かつ個々に選出されます。理事国は総会の加盟国193票の過半数を得なければなりません。
任期は3年で、連続3選は出来ません。
アフリカとアジアがそれぞれ13議席、ラテンアメリカ・カリブ海域が8議席、西欧およびその他が7議席、東欧が6議席と地域ごとに議席が配分され、日本も2016年から2019年までの任期で理事国となっています。

理事会は計10週間以上の会期を年に最低3回定期的に開催されるほか、理事国の3分の1の支持を受けて特別会期をいつでも開くことが出来ます。
2012年にシリアの人権状況について特別会期が開かれました。

特別報告者

最近日本に関して国連特別報告者という存在がよくニュースに出てきますが、これも国連人権理事会と関係があります。
特別報告者は調査・監視・報告・勧告を行う独立した専門家で、国連人権理事会によって任命され、特定の国の人権状況に対するものと、テーマ別の人権状況に対するものがあります。

特定の国の特別報告者は特に人権侵害の懸念が強い国の人権状況について報告を行う専門家で、現在はベラルーシ、イラン、カンボジア、ソマリア、マリ、スーダン、シリア、ミャンマー、北朝鮮、ハイチ、パレスチナコートジボアールについえ報告をしています。

日本のニュースによく出てくる報告者はテーマ別の報告者の方で、デイヴィッド・ケイ氏は表現の自由に関する特別報告者で、「日本の女学生の30%が売春をしている」と発言して問題になったマオド・ド・ブーア=ブキッキオ氏は児童の人身売買、児童売春、児童ポルノに関する特別報告者です。

普遍的・定期的レビュー(Universal Periodical Review)とは

今回の報道の自由や死刑に関する勧告はこの「普遍的・定期的レビュー(Universal Periodical Review)」と呼ばれるものです。
これは国連の全加盟国193ヶ国がそれぞれ4年ごとに審査を受けるというもので、日本が昨年11月ジュネーブで受けた審査が今回のニュースの元になっています。
UPRではまず審査を受ける国がどのように人権状況の改善に取り組んでいるかを報告します。
他の国はその国の人権状況を評価し、新たに勧告を出します。
この勧告がニュースになったもので、つまりこれらの勧告は中立の立場にある国連そのものというよりは、その加盟国が独自に出すものということになります。
なので他の国が審査を受ける時は日本が勧告を出すこともあるというわけです。

一部では「国連は日本を敵対視している」といった意見もありますが、このUPRに関してはそういうことはあまりなく、むしろ個別の国同士の関係性が与える影響の方が大きいのではないかと思います。
日本にしても北朝鮮とスーダンに対するのでは当然力の入れ具合も変わってくるでしょう。

そういう事情もあってかこの勧告自体には強制力はなく、審査国は受け入れ、拒否、留意など対応を選ぶことが出来ます。
今回日本には217件の勧告が出され、そのうち145件を受け入れ、34件を拒否、他は留意などとしています。

まとめ

時折ニュースには出るけれども具体的にどういうものなのかわかりにくい、国連人権理事会や特別報告者等についてまとめました。
ここで出された勧告が国内法へ与える影響もしばしばあるので正確に理解しておきたいものです。

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