PK戦で勝つ方法 統計と心理

サッカーのPK戦というと、「運で決まるからどうやっても一緒」と考えている人も少なくないでしょう。
しかしそれは事実ではありません。
PK戦は同じシチュエーションの繰り返しのためデータが取りやすく、数多くの研究が行われています。
それらの研究を見るとPKというのは単なる偶然や運で決まるものではなく、統計的な偏りがあることがわかっています。
ここではPK必勝法、とまではいきませんが少しでも勝率を上げる方法を紹介していきたいと思います。

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先攻を選ぶ

これは有名な話ですので既に知っているかもしれません。
イギリスの研究・教育機関のロンドン・スクール・オブ・エコノミクスが1970年から2000年にかけて行われたPK戦について分析した結果、先攻チームが60%の確率で勝利していることがわかりました。

元々PKはキッカーの方が有利に出来ているので、先攻であれば高確率で先に点を取ることが出来ます。
そして相手は先に点を取られている状況でボールを蹴ることが多くなり、心理的なプレッシャーがかかって外す確率が高くなるというわけです。

従って、PKで先攻後攻選べる時は迷わず先攻にしましょう。

しかしこういったデータを受けて、Aというチームが一本目先にボールを蹴ったとしたら二本目は相手のBチームが先に蹴るという風に交互に先攻後攻が入れ替わる通称ABBA方式が提唱されています。
この方式が採用されれば少なくとも今よりは確率の偏りが減るでしょう。

蹴る方向

PKを蹴る際に重要なのはボールを蹴る方向です。
スティーブン・レヴィットという経済学者は「真ん中に蹴るのが最も成功率が高い」と主張します。
レヴィットによればキーパーの予測しない真ん中に蹴ることで、サイドに蹴るより成功率が上がるというデータがあるそうです。

もっとも、これには異論もあります。
同じく経済学者のイグナシオ・パラシオス=ウエルタ教授は右利きならば左側、左利きなら右側の蹴りやすい方向に61.5%、38.5%を反対側に蹴るのが最適だとしています。
キッカーがいつも同じ方向に蹴るとキーパーはその傾向に気付いてしまうので、裏をかくために複数の方向に蹴る。その際蹴りやすい方向に多めに蹴るという理屈です。

一方で、物理学の観点からはキーパーの存在は無視してゴール上部両端のどちらかに速いボールを蹴り込むのが最も確実にPKを成功させる選択とされています。
物理的にキーパーが触れない所に蹴ればいいという理屈です。

ちなみにUEFA.comがチャンピオンズリーグの過去のデータを振り返ってみたところ、左右であれば8~9割決まるところ真ん中だと実に約半分が失敗しています。

スター選手ほど成功率が低い

ノルウェーの心理学者、ゲイル・ヨルデットによると、スター選手ほどPKを失敗する確率が高いそうです。
ヨルデットはワールドカップ、ユーロ、チャンピオンズリーグから298選手366回のPKを調べました。
彼はそれらをバロンドールなど個人賞を受賞した選手、受賞歴のない選手、受賞が期待される選手の3つにわけました。
その結果PKの成功率は受賞歴のあるスター選手が59%、ない選手が74%、期待されている選手が89%という結果になりました。
つまり、イメージに反して実績がある選手ほど成功率が低いというのです。
これは心理的要素が原因で、スター選手ほど失う物が多くプレッシャーが大きいため、かえって成功率が下がってしまうとヨルデットは説明しています。
また、ヨルデットはチームレベルでも同じことが起こり、スター選手を多く抱えるチームの方がPK戦で負ける確率が高くなることを発見しました。

アマチュアにバロンドール受賞者はもちろんいないでしょうが、チームのエース的な人が蹴らない方が成功率は上がるかもしれません。

ゆっくり時間を掛けて蹴る

同じくヨルデットの研究で、ボールを置くのに1秒以下しか掛けない選手の成功率が58%なのに対し、1秒以上時間を掛ける選手の成功率は80%だったことがわかっています。
同様に、レフェリーが笛を吹いてから蹴るまでの時間も1秒以上空けた方が、笛が鳴ってすぐ蹴るより成功率が高くなるそうです。
PK戦が苦手なことで有名なイングランド代表はこの蹴り出すまでの時間が平均0.28秒で世界で最も短かったそうです。

成功したら皆で喜ぶ

PKでゴールをした際、皆で喜びを露わにすると試合にも勝つ確率が上がることをヨルデットとその同僚が発見しました。
ゴールセレブレーションによって、味方はリラックスし相手を不安にすることが出来るためです。

キーパーを見ない

エクセター大学のグレッグ・ウッド、マーク・ウィルソンの両氏は選手の視線に着目してPK戦を研究しました。
その結果、緊張するほど選手はキーパーに注意を取られ、ボールもキーパー正面に向かって失敗する確率が高くなることを発見しました。
グレッグ・ウッド氏は、PKの際にはキーパーを無視して蹴る場所を決めてボールを蹴るのがベストだと言います。
視線をコントロールするために上の理論に基づいたトレーニングをすることで勝率を高めることが出来るというのが両氏の考えです。

まとめ

  • 先攻を選ぶ
  • スター選手には蹴らせない
  • 時間をかけて蹴る
  • 成功したら皆で喜ぶ
  • キーパーに注意を向けない

おさらいすると上のようになります。
蹴る方向など議論の余地がある要素もありますが、一つ言えるのはPKでは技術以上に心理が重要となるということです。
それぞれアプローチは違っても、どの研究も緊張したりプレッシャーを感じると失敗する確率が上がり、リラックス出来れば成功率が上がることを示しています。
決めて当然、外したら批判されるかも、こういったプレッシャーはPKにおいてはマイナスにしかなりません。
PK戦で勝利するには、いかに自分たちをリラックスさせ、いかに相手にプレッシャーを与えるかあらかじめチームで話し合うとよいでしょう。

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