培養肉「クリーンミート」が実用化されたら従来の肉は食べられなくなる?

今回は今アメリカで実用化に向け研究が進められているclean meatと呼ばれる培養による培養肉について紹介し、それが実用化されたら世界がどう変わるのか考えてみたいと思います。

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Clean meat(クリーンミート)とは?

動物を飼育して屠殺するのではなく、その細胞を取り出して人工的に培養することで作り出す肉のことで、in vitro meatとも呼ばれます。
植物由来の成分を使った人工肉は既にありますが、これはそれとは違い動物性タンパク質そのものです。
発想自体は古くからあり、1931年にウィンストン・チャーチルが「胸や翼を食べるために鶏一羽を丸々育てるという馬鹿げたことをやめ、それらの部位を別々に育てるべきである」と述べています。
21世紀に入って技術の進歩によりそれが一気に現実的になり、研究段階では既に培養肉が作り出されています。
大企業や起業家も大きな関心を寄せており、ビル・ゲイツやヴァージン・グループの創業者リチャード・ブランソンのような大富豪とアメリカの穀物メジャー、カーギル社がサンフランシスコのシリコンバレーにあるMenphis Meatsという会社に投資を行っています。
このメンフィス・ミーツ社はこの分野のトップランナーで、既に鶏肉や牛肉を幹細胞から作り出すことに成功しています。

まるでSF映画『ソイレント・グリーン』の世界ですが、これは紛れもない現実です。
下はそのメンフィス・ミーツ社の作成した動画です。ほのぼのとした絵柄が逆にちょっと怖い気もします。

培養肉のメリット

まず一つには動物を殺さなくても肉を食べられるという倫理的な要素があります。関心自体は肉を食べている人の方が強いようですが、
ベジタリアンも自分は利用するつもりはなくても倫理的な観点から歓迎している人は少なくありません。
もう一つは環境への影響です。動物を育てて屠殺するのは多くの水や飼料が必要ですし、大量の廃棄物も生まれます。培養肉が実用化されれば
環境負荷が大きく軽減される可能性があります。
現時点では金銭的コストが非常に大きいのがネックですが、このまま研究が進み実用化されて大量生産にこぎつければ従来型の肉より安く製造出来るようになる
かもしれません。

もちろん否定的な反応もあり、生理的な嫌悪もあれば食物の原料までごく少数の大企業、大富豪が掌握するということを懸念する声もあります。

影響

ではこの培養肉がこのまま実用化されたらどうなるか。
僕はいずれは従来型の畜産は禁止されるか、少なくとも大幅に規制される方向に行くのではないかと思います。
大きな理由としては動物愛護の観点からです。現時点でも肉食をやめるべきだと主張する動物愛護団体は少なくありません。といっても今までは動物性タンパク質は健康には必要なもので代替手段もないことからそういった主張にそれほど影響力はなかったわけですが、この技術が実用化されれば間違いなく従来型の食肉禁止運動を大々的に行うようになるはずです。
そして実際に動物を殺さずとも肉が食べられ更に環境への負荷も小さいとなれば説得力も増すので、それらの主張に賛同する人も増えていくことでしょう。
そのため動物愛護団体もこの技術には大きな関心を寄せており、アメリカの世界最大の動物愛護団体PETAは以前培養肉の実用化に懸賞金を掛けたこともあります。

例えば毛皮などは化学繊維の発達もあって日本でも徐々に反発が強まっています。
食肉となると体の中に入れるわけですし、安全性や心理的問題、既存の農家や業者の保護など化学繊維と比べてハードルも多く普及にはある程度時間が掛かるでしょう。
それでも動物愛護団体の勢力が強いアメリカやEUで従来の食肉に取って代わっていき、その流れが日本にも波及していくのではないかと思います。

感想

培養肉クリーンミートとその影響について書きました。
SFの世界そのもので漠然とした不安もありますが、試験管ベイビーのようにこれも慣れてしまえばなんとも思わなくなるのかもしれません。

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