DAZNマネーによる配分金とJリーグの意図を探る

Jリーグも2017シーズンが終了し、今年のJ1では最終節で川崎フロンターレが鹿島アントラーズを抜いてクラブ初のJ1優勝を成し遂げました。
そして今年はDAZNでの放映が始まり、その莫大な放映権料が配分金に反映される最初の年でもあります。
そこで今回はJリーグの配分金とその裏にあるリーグの意図について改めておさらいし、考えてみようと思います。

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配分金は「均等配分金」、「降格救済金」、「ACLサポート」、「賞金」、「理念強化配分金」の五つに分かれています。
ちなみにDAZNとの放映権料の額が確定しているのは19年までで20年以降は変動の可能性があるため、この配分金もとりあえず19年までの確定した金額です。

均等配分金

J1各クラブ3.5億円、J2各クラブ1.5億円、J3各クラブ3,000万円

これは均等とある通り各リーグ内順位にかかわらず一律にもらえ、DAZN以前と比べほぼ倍増しています。

降格救済金

降格初年度均等配分金の80%

これは上記の各配分金を降格初年度のみ80%貰えるというものです。
例えばJ1からJ2に降格した場合、本来J2の均等配分金が1.5億の所3.5億の八割である2.8億が貰えます。
上のリーグから降格すると大きく収入が減るため、降格クラブを文字通り救済するためのものです。

ACLサポート

天皇杯優勝チームに8,000万円
リーグ優勝と天皇杯優勝チームが同じ場合4チームで2,000万円ずつ配分

各クラブにスケジュール、金銭的に大きな負担になるACLをサポートするためのもの。
天皇杯優勝チームだけなのは、後述の理念強化配分金でリーグ上位チームは既に十分な金額を受け取っているからです。
リーグと天皇杯で優勝チームが同じ場合、リーグ上位チームだけが出場するのでそうした配慮はいらないということです。

賞金

J1リーグ      優勝  3億円   2位   1.2億円  3位 6,000万円
ルヴァンカップ 優勝  1.5億円  2位   5,000万円 3位 2,000万円
天皇杯     優勝  1.5億円  2位   5,000万円 3位 2,000万円
富士ゼロックススーパーカップ 5,000万円

各大会上位への賞金です。
J1優勝は1億→3億、ルヴァンは1億→1.5億といったようにそれぞれ増額されています。

理念強化配分金

1年後 2年後 3年後
1位 10億円 4億円 1.5億円 15.5億円
2位 4億円 2億円 1億円 7億円
3位 2億円 1.5億円 なし 3.5億円
4位 1.8億円 なし なし 1.8億円

これが最もDAZN放映権料の影響が大きい配分金で、1位チームは15.5億円。賞金等と合わせれば合計20億円超えが支給されることになります。
最もなんにでも使えるわけではなく、支給にあたっては審査があり、強化や普及、育成、施設整備等に使うことが求められます。
また、一度に渡すわけでもなく最大3年間に分けて支給が行われます。
ここからこの理念強化配分金についてもう少し細かく考えたいと思います。

理念強化配分金とJリーグの意図

今までのJリーグからすると桁違いの金額になる理念強化配分金ですが、そこにあるJリーグの意図を探ってみます。
まず一つの特徴としてこの配分金は「傾斜配分方式」という形が取られています。
これは各クラブ均等に配分するのではなく、成績に応じて差を付けるということです。
賞金は別にあるわけですから均等に配ってもいいところをあえて1位には賞金の5倍もの金額を渡すわけですが、その意図は明らかで、要するにJリーグはこれによってビッグクラブを作りたいのだと思います。
かねてよりJリーグは各クラブの戦力差が少ないと言われており、優勝チームが数年後降格することや昇格チームが優勝することも普通に起こっています。
それ自体は決して悪いことではなく、むしろどこが優勝するか分からないという緊張感は他のリーグにはない魅力だと思います。
しかし現実としてヨーロッパのトップリーグにはチャンピオンチームが必ず存在し、Jリーグがそれらのリーグに人気面で大きく穴を開けられているのも事実です。
例えば2000年以降の優勝クラブの数で言うとドイツブンデスリーガが4、セリエAが4、リーガが4、戦力が均衡していると言われるプレミアでも5チームです。
それに対しJリーグは今年のフロンターレで実に9つものクラブが優勝していることになります。
それを踏まえJリーグとしては、少数でも全国区のビッグクラブがあった方がリーグ全体が盛り上がると考えたのかもしれません。

また、今年浦和レッズが優勝したもののこの配分金を決定した段階ではJリーグは10年間ACLで優勝していない状態でした。
アジアでも強くないリーグよりはアジアトップのリーグの方がファンに魅力を訴えやすいのは明らかで、上位チームが豊富な資金でチームを強化することでACLで結果を残しJリーグの価値を証明するということも理由の一つかもしれません。

こういった理由でJリーグは意図的に格差を作るつもりなのではないかというのが個人的な推測です。
このような格差を設けることは地域密着と相反する、といった声もありますが必ずしもそうではないと思います。
例えばスペインではバルセロナはカタルーニャの象徴として「クラブ以上の存在」と呼ばれていますし、イタリアやイングランドではユヴェントスやマンチェスターユナイテッドのようなクラブが全国的な人気を持つ一方で同じ町にマンチェスターシティやトリノのようなより地元民に愛されているクラブがあります。
また、日本のプロ野球でもソフトバンクがオーナー企業の資金力でビッグクラブ的存在になっていますが、福岡での人気はかなりあるはずですしその存在が他の球団の地域密着の妨げになっているとも思えません。
従って少数のチームが豊富な資金でビッグクラブになるからといって必ずしも地域密着の理念に反するとは言えないと思います。
均等配分金や降格救済金もありますし、リーグ全体の底上げをしつつかつてのヴェルディのような華やかなチームを作りたいというのがJリーグの意図なのでしょう。
更に1年目でお金を使いすぎて2年目に低迷、赤字転落といったことのないよう一度にではなく数年にわけて支給する形を取り長期的なビジョンでクラブが投資を行うように促し、そして額が額だけにおかしな使い方をしないようある程度使途を限定しJリーグが審査を行うということだと思われます。

まとめ

以上各種配分金についてまとめ、その裏にあるJリーグの意図を考えてみました。
これらが果たしていい結果につながるのか?それは実際の所やってみなければわかりません。
上述の通りこの配分はとりあえず19年までのものなので、まずやってみて何か問題があれば再度修正すればいいだろうと思います。
ただ、プロスポーツを盛り上げる上で金銭的な投資はどうしても不可欠なもの。理念強化配分金だけでなく均等配分金もかなりベースアップしていますし、素直に考えればリーグにとってプラスになる可能性は高く、一ファンとしてもそうなることを期待しています。

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