ジェンダーギャップ指数で日本が過去最低の114位に後退 一方でジェンダー不平等指数は21位の高順位 理由は?

世界経済フォーラムが2017版ジェンダーギャップ指数を発表しました。
これは各国の男女格差を表したものですが、日本は144ヶ国中114位という不名誉な結果でした。
一方、日本のメディアは取上げませんがUNDP(国連開発計画)の出しているジェンダー不平等指数という指標では日本は188ヶ国中21位という結果になっています。
同じ男女平等について調べた指標にもかかわらず、こうも極端な違いが生まれるのはなぜでしょうか。
それぞれの指標の特徴を述べた上で比較してみましょう。

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ジェンダーギャップ指数とジェンダー不平等指数の比較

この両者が男女格差を測る分野は大まかに教育、保健、政治、ビジネスとそれほど変わらないのですが、
基本的なスタンスとその各分野の中でどんな項目を選ぶかが異なります。

ジェンダー不平等指数(以下GII)がある程度国の発展度合いも関係してくるのに対し、ジェンダーギャップ指数(以下GGI)はそういった国の発展レベルによる差を排除し各国の”男女格差のみ”を測っているという違いがあります。
極端な例ですが、例えば大学進学率男性50%、女性40%の国より大学進学率男女共に0%の国の方がGGIでは順位が高くなるということになります。
GGIを持ち出してアフリカなどの途上国より日本は男女格差が遅れているといった記事を見ますが、そもそもGGIはそういった先進国、途上国の差を排除してランク付けすることを意図して作られたものなので、途上国より云々という言い方にはあまり意味がないということになります。

日本に関する項目を見ると、日本は妊産婦死亡率が低くこれがGIIでのランクを引き上げる一因になっていますが、そもそも男性は妊娠する事がなく男女格差を測定する事が不可能なため妊産婦死亡率はGGIでは採用されていません。
このことはGGIのランクで日本に不利に働きますが、逆に妊産婦死亡率の高いフィリピンのような国はGIIと比べGGIでの順位が高くなる結果となります。
他にはGIIでは教育格差を中等教育の就学率で測っているため、中等教育での男女格差がほとんどない日本にとって有利になりますが、高等教育の就学率も考慮しているGIIではランクが下がります。
女性議員の少なさや男女の賃金格差が日本のランキングを下げているのはGGIでもGIIでも変わりません。

このように色々な要因が重なって同じ男女格差を測るランキングでもこれだけ結果に違いが出ています。
これは日本以外でも起こっていることで、例えば韓国はGGIでは日本以下の118位ですがGIIでは先進国でも上位の10位、逆にフィリピンはGGIではアジア最高位の10位ですがGIIでは116位となっています。

 

どちらかが間違っているというわけではない

このようにGGIとGIIで大きくランクが異なる要因を見てきましたが、僕はどちらの指数があてにならないとか
間違っているということが言いたいのではありません。
日本が健康分野で高評価、ビジネスや政治で低評価といった大まかな所は一致していますしね。
この記事の趣旨は男女格差という同じテーマを扱ったランキングでも、何を重視しどんな要素を採用するかでこれだけ結果が大きく変わってくるということです。
単に一つのランキングの結果だけでなくその中身や、類似の調査を見る等しないと誤った理解をしまう危険性があります。

GGIの結果を受けて「日本は女にとって不幸な国」「日本では女が迫害されている」といった反応をしている人もいますが、そのような感情的な反応をしても問題の焦点がぼやけ、かえって男女格差の解消は遠くなりかねません。(そもそも日本は男性より女性の幸福度の方が高い国ですしね)

GGIの内訳やGIIとの比較で見えてくる日本女性の現状は「保健は世界トップレベルの環境で教育はそれなりだが、ビジネスや政治における女性の社会進出が進んでいない」といった所です。
女性が社会で活躍するのが難しいのは終身雇用制度に原因があるのでそれを見直せばいいのですが、理解が進んでいないため中々そうなっていません。

ちなみにGGIの順位が過去最低ということで日本の男女格差も過去最低のレベルにあると思うかも知れませんが、対象国自体が2006年の115ヶ国から144ヶ国に増加しているのでそういうわけではありません。
実際2006年の日本のランクは80位と今より高いですが、スコア自体は当時の0.645に対し2017年が0.657と現在の方が高くなっています。

まとめ

  • GGIとGIIで順位が大きく異なるのはそのスタンスや採用する項目が異なるため
  • どちらが正しいというのではなく、定義や何を重視するかで同じテーマでも結果が大きく変わりうる
  • 日本は保健は世界トップレベルで教育はそれなりだがビジネスや政治における女性の社会進出が進んでいない

以上のようにジェンダーギャップ指数とジェンダー不平等指数について比較しました。
こうやって詳しく見ると「男女平等ランキングで日本は114位らしい」と大雑把に見るのとは違った見方が出来るのではないでしょうか。
日本社会が中々良い方に変わらない(ように見える)理由の一つには国民のメディア・リテラシーの低さも間違いなくあります。
僕自身気を付けたいことですが、よりよい社会を作るためには国民一人一人が情報を吟味し自分の頭で考えられるようになる必要があるでしょう。

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