DV加害者に焦点を当てたドキュメンタリー『DV-殴らずにはいられない男たち』(豊田正義)

DV、いわゆるドメスティックバイオレンスについて書いた1冊。
DVは被害者側の視点であったり、社会問題としてだったり色々な切り口があるかと思いますが、
本書では加害者側に焦点が当てられています。

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妻に暴力を振るってしまうのはどんな人達なのか。どんな背景があるのか。彼らの言い分は何なのか。
自分が暴力を振るってしまうことについてどう考え、対処しようとしているのか。
当事者である夫、妻への取材を通し怪物のように思えてしまうDV加害者の人物像を明らかにしていきます。

 

このように苛烈な暴力を振るう男達ですが、必ずしも普段から粗暴な人物というわけではなく、むしろ大人しく結婚前はとても暴力を振るうような人には見えなかったという場合も多いようです。

こういった加害男性はプライドが高く、しかし現状がそのプライドに見劣りするような状態でコンプレックスを抱えており自尊感情が低い事が共通点として挙げられます。
また古風な男女観を持っていて、「女は男に黙って付いていくものだ」という考えが強いようです。しかも結婚前はそういった様子は見えず徐々に露になっていきます。

そして当人の生育環境に問題がある場合が多く、例えば父親からよく体罰を受けていたりだとか、条件付きの愛情しか与えられず、そのために他人の愛情を信じることが出来なくなっています。

そういったことが原因で自分でも暴力を止められず、半ば依存症の様にDVをするようになっていきます。

事情があっても決して暴力が正当化されるわけではありませんが、加害者も血の通った人間であり、
単に責めるだけでなく暴力に至る根本的な原因を取り除けるような仕組みが発達していけばいいのかなと思います。

 

実際本書の中でもカウンセリングやセラピーを通して自分の弱さと向き合い、暴力を克服しようと努力する人も何人かいます。
残念ながら自分の非を認めずDVを正当化する人もいますが、そういう場合にはきちんと取り締まってDVはやってはいけないことだと
世の中全体で強く周知していくしかないのかなと思います。

 

今までDVなんて言うとどこか遠い世界の様に感じていましたが、本書を読んで普通の人でも何かの拍子にしてしまうかもしれない、そういうありふれた怖さを感じました。

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