家事の分担は夫の「意識」の問題ではない 長時間労働の是正を最優先に

今の日本では色々な問題が取り沙汰されており、その中に家事の問題があります。

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共働きであっても妻の家事負担が大きく、それは日本人男性の家事への意識が低いから、といった論調が目立ちます。

確かに共働きでも妻の側に家事が偏っているのは事実ですが、その原因が夫の意識にあるというのは間違いです。

正確に言うと意識も関係はあるでしょうが、それは世間が思ってるより小さく「意識」頼みの家事分担の改善は限界に近い、ということです。

それをこれから見ていきましょう。

家事の分担割合と意識

(honte 『共働き夫婦の“家事分担”の実態。夫の家事参加はどこまで進んだか?』)

上は共働き夫婦における家事の分担割合。共働きであっても多くの家庭で女性の家事負担が大きくなっていることがわかります。

(honte 『共働き夫婦の“家事分担”の実態。夫の家事参加はどこまで進んだか?』)

一方こちらは年代別の家事負担率。世代が若くなるほど夫の家事負担率は上がっています。

またこの調査では『家事分担に「満足していない・あまり満足していない」理由』を調べていますが、その男性側の理由を見てみると女性側が夫への不満が多かったのに対し、男性は自分が家事を出来ていないことに不満を感じていることがわかります。
つまり意識としてはもっと自分も家事や育児に関わりたいと思っているわけです。

(honte 『共働き夫婦の“家事分担”の実態。夫の家事参加はどこまで進んだか?』)

夫の家事に対する意欲が決して低くないことは他の調査でも確認できます。

(NHK放送文化研究所 放送研究と調査『男女の家事時間の差は何故大きいままなのか)

どの程度まで家事に参加するかという意識はそれぞれでしょうが、男性の家事への意欲が年を経る毎に高くなっているのは間違いありません。

夫婦の労働時間

ではもっと家事に参加したいという意識はあるのに何故それが出来ていないのでしょうか。
それは夫の長時間労働に原因があります。

(総務省 統計局『平成28年 社会生活基本調査』)

上の表を見てください。
家事時間を見ると、共働きの場合3時間ほど妻の方が長くなっています。
一方仕事等の時間を見ると逆に夫の方が3時間ほど妻より長くなっています。
つまり妻が夫より家事をしている時間丸々夫は仕事をしているわけです。
そもそも夫の家事参加率が高い国は軒並み日本より仕事時間が短く、家事と仕事を合わせた総労働時間で言えば日本の夫はそれらの国とさほど変わらないかむしろ日本の方が長かったりもします。
日本の夫は何も怠けているわけではなく、仕事に時間を取られて家事への参加が難しくなっているのです。

労働者全体で言えば日本人の労働時間は世界的にそこまで長くありませんが、それは非正規労働者が押し下げているからで正社員の労働時間は依然として世界一です。
そして男性の場合既婚者は非正規より正社員の方がずっと多く、当然仕事に時間を取られる夫が多くなっているというわけです。

労働時間が伸びている中夫は家事や育児の時間を増やしていますが、そもそもの時間が限られている中でさらに増やしていくのは限度があります。

 

また労働時間に含まれないためしばしば見過ごされがちですが、通勤時間の問題もあります。

(マイナビニュース『平均「通勤」時間に男女差 – 男性は52分、女性は?』)

上のグラフを見てわかるように労働時間だけでなく通勤時間も男性の方が長くなっています。
これはあくまで男女の差で夫婦だとまた多少違ってくるのでしょうが、夫の方が長くなっているであろうことは容易に想像出来ます。

夫の労働時間が少ないほど 家事、育児への参加率が高い

(独立行政法人 労働政策研究所『家庭生活とワーク・ライフ・バランス』)

当然ではありますが労働時間が長い夫ほど家事への参加率が下がることはデータでもはっきりしています。

これらを考慮すると、夫の家事参加を促すには既にある程度改善して”伸びしろ”の少ない夫の意識改革に期待するより世界トップの労働時間を短くすることを考えた方がずっと効果的であると言えます。
労働時間が減れば男性も助かりますし、それで男性がより家事に参加するようになれば女性の家事負担も軽くなります。
その点で男女は敵同士などでなく共通の利害を抱えていると言えます。将来を誓い合った夫婦であれば尚更です。
それなのにそういった本質を見ないでいまだに夫叩きに勤しんでいるマスコミが少なくないのは残念なことです。
もちろんきちんとした報道をしているメディアもありますが、「育児をしない夫は人間じゃない」と言い切る記事を読んだ時はさすがにちょっと酷いというか視野が狭すぎると感じました。
中には単純に怠けている駄目な夫もいるでしょうが、統計を見る限りでは朝早く家を出て帰ってくるのは夜遅く、育児をしようにもできない、そんなお父さんの方が多いように見えます。
とにかくそういった”意識”叩き一辺倒の記事は問題の解決に繋がらないどころか、無用な対立を煽り問題の根源を見えにくくするという点でかえって有害でしょう。

意識の改善も重要ですが、それより根本的な問題に国民は目を向ける必要があります。

まとめ

電通の過労死事件もあって世の中全体が労働時間を短くしようという方向に向かっています。
労働時間が短くなることで賃金が下がる等の懸念もありますが、これだけ過労死や家事が問題になっている以上労働時間を減らすことは避けて通れない道でしょう。
とはいえ、家計を支えるためあえて残業しているような人も少なからずおり、お金も切実な問題です。
労働時間を短くしながらも賃金を今まで以上に上げられるようなマネジメントの改革が望まれます。

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