政府が検討「出国税」とは? 他国の事例と導入の是非

2018年4月16日

現在政府が「出国税」なるものを検討して話題になっています。
旅行会社など一部からは反発の声もありますがそもそもこの出国税とはどういうものなのでしょうか。
他国の事例やその是非を考えてみます。

スポンサーリンク

出国税とは

実は既に日本には出国税と呼ばれるものがありますが、これは今検討されているものとは全くの別物。
正式には国外転出時課税制度と呼ばれ、1億円以上の資産を有する富裕層が海外転出をする時含み益に
課税をするという制度です。海外に移住することで税金を払わずに済ませる人が少なからずいるためその対策です。
今検討されている出国税は単純に日本から出国する人に課税するもので、その額は一人当たり千円とも二千円とも言われています。
課税方式は具体的に決まっていませんが、航空券に上乗せする方法などの案が出ているようです。
その用途は無料wi-fiの整備や多言語表示、海外宣伝といった観光客増の施策に使われる予定。
一方で観光業界からはかえって観光客が減りかねないなどと反発の声も上がっています。

他国の事例

では他国ではどうなっているのでしょう。
どこの国もやっている、というわけではありませんがといって特に珍しいものでもありません。
以下で一部の例を見てみましょう。

オーストラリア   約45ドル
イギリス    約16ドルから240ドル  ※距離とクラスによって金額が異なる
タイ      約22ドル
カンボジア    約25ドル
韓国       約10ドル
キューバ      約25ドル
フィジー     約125ドル

等です。多くの国では航空券に含める場合が多いようです。

導入すべきか

そんな出国税ですが、上述の通り観光業界からは観光客に対する負担増でかえって観光客の数が減りかねないと反発の声が上がっています。
またネットの反応を見る限りだと単純に増税への反発ということで否定的な意見が多いように見えます。

結局この出国税の導入の是非はどうなのかということなのですが、個人的にはありなんじゃないかと思っています。
理由の一つとしてはその課税額。未確定なものの今言われているのは千円ないしは二千円。その程度であれば
訪日外国人観光客の数を大きく減らす原因にはならないんじゃないかと思います。

もう一点は課税対象。

(観光庁 『統計情報・白書 出入国者数』)

 

課税対象は日本人外国人を問わず日本から出国する人になるわけですが、見ての通り2015年時点で出国日本人数を外国人旅行者が上回っています。
政府の計画通りに行けば訪日外国人の数は更に増えるはずで、外国人からの徴収が主になってきます。
また日本人でも旅行や他の理由にせよ国外へ行く人はそれなりに余裕がある人が多いと思われ、景気への影響もさほどないでしょう。
観光客の誘致を充実させるならいずれにせよ政策にお金はかかるわけで、既存の財源に頼るよりは観光によってその資金を工面した方がいいのではないかと思います。
いずれにせよ徴収方法や用途についてしっかりとした議論がなされる事が必要でしょう。

※追記

2018年4月11日に出国税を徴収する国際観光旅客税法が参院本会議で可決、成立しました。2019年1月7日から導入される予定。

航空券や乗船券の運賃に上乗せされる形で徴収されますが、乗員やトランジット利用客、2歳未満の子供は対象外となります。

また、使い道は①観光客が快適に旅行するための環境整備、②体験型観光の満足度向上、③日本の魅力に関する情報発信の3つに限定されます。

個人的には集客より観光資源の保護・整備など観光客の増加に伴うコスト対策に使って欲しいところですが、いずれにせよ出国税の是非を決めるのは徴収の有無以上にその使い道。

政府は訪日客を年間4,000万人まで増やすことを目標としているので、目論見通りにいけば一人1,000円でも400億円。更に日本人からも徴収するわけですからかなりの金額です。

無駄なく使われるか、国民がきちんとチェックしていかなくてはいけません。

スポンサーリンク