「独身税」は逆に少子化を悪化させる 導入すべきでない理由 

「独身税」という言葉がネットで炎上状態になっています。
石川県かほく市の子育て中の母親がメンバーである「かほく市ママ課プロジェクト」と財務省の予算編成担当者の意見交換会が開かれ、
そこで参加者から「独身税」の導入が提案されたという記事が北國新聞に載ったことがきっかけです。
これに対してネットは大反発、炎上を受けて同市、財務省ともに「独身税」という言葉は使っていないと釈明しています。

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実際の処どうだったのかはわかりませんが、この「独身税」という考えは前々から一部では語られており
過去には国会議員が提案したこともあります。
今回は子育てが大変な世代の負担を軽くしてそのぶん独身者の負担を重くしろという主旨のようですが、
ほかには少子化改善のため結婚するよう促すために導入したらどうかという文脈で議論されることが多いです。

結論からいうと「独身税」を導入しても少子化は改善されません、というより更に少子化が進んでしまう可能性すらあります。
この反発の大きさから見るに現実には導入されることはないと思いますが、以下で根拠を説明します。

少子化の原因と独身税

国立社会保障・人口問題研究所の第15回出生動向基本調査によると、2015年の夫婦の子供の数の平均は1.94とされています。
戦前から右肩下がりではあるものの結婚さえすれば大体の夫婦は子供を産むということになります。

少子化の原因は晩婚化で夫婦あたりの子供の数が減っていることもありますが、未婚の人の割合が増えていることにもあります。

上の図の通り婚姻率も低下し続け2015年には過去最低の5.1となっています。

ではなぜ未婚が増えているのでしょうか。

(国立社会保障・人口問題研究所『第15回出生動向基本調査』)

国立社会保障・人口問題研究所の第15回出生動向基本調査によれば、「いずれ」という部分に注意する必要がありますが、8割以上の人が結婚したいと思っているそうです。
つまり未婚率が上がっているのは結婚をしないというより出来ない人が増えているのが大きいと思われます。
では結婚できない理由は何か。

(国立社会保障・人口問題研究所『第15回出生動向基本調査』)

同じく第15回出生調査基本動向によると、結婚の障害として多いのは男女共に「結婚資金」となっています。
これは「一年以内に結婚するとしたら何か障害となることがあるか」という質問に答えたもので実際には他にも適当な相手がいない等の理由も大きいのですが、ともかく「お金がないから結婚できない」という層が一定数存在するのは確かです。

ここで独身税の話に戻りますと、お金がないから結婚できないのにそこから更にお金を取ったらかえって結婚が遠くなるのは火を見るより明らかですし、今までなんとか結婚できた人さえ出来なくなる可能性すらあるでしょう。

更に言えば既婚者の方が独身者より所得が高くなる傾向にあり、独身税は恵まれない人間からお金を巻き上げて恵まれた人間に渡すシステムであるとも言えます。
ただでさえ今の日本は再配分をした結果、一部では逆に貧困率が上がってしまっているという現実があります。
それに加えて逆進性の強い税金を導入するというのは現実的ではないでしょう。

またシングルマザー(ファーザー)も独身であり、独身既婚を基準にするとただでさえ苦しいそれらの人を一段と厳しい状況に追い込むことになります。

まとめ

  • 独身税は少子化改善どころか悪化につながる可能性が高い
  • 公平性の観点からも問題がある
  • 子供のいる独身者の生活が更に苦しくなってしまう

以上の理由から独身税は今後も導入すべきではないという結論になります。
もっとも夫婦のみが受けられる控除も色々あるので見ようによっては既に独身税は導入されているとも言えるかもしれませんが。
いずれにせよ、子育て支援ということなら既婚か独身かでなくあくまで子供を基準に行うべきで、また少子化改善を目的にするのであれば独身者の負担を増やすのではなくむしろ逆、独身、というか中低所得者への金銭的な支援を行うべきでしょう。

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