数々の名門クラブを渡り歩いた名将の記録『アンチェロッティの完全戦術論』(カルロ・アンチェロッティ 文・ジョルジョ・チャスキーニ)

監督として多くの栄光を勝ち取ったカルロ・アンチェロッティが監督としてのキャリアを振り返った本です。
完全戦術論と銘打ってはいますが、戦術的な部分はあくまで本の一部で内容的には戦記とでも言った方が近いかと思います。
ユヴェントス、ACミラン、レアル・マドリード、パリ・サンジェルマン、チェルシーなど各国の名門クラブを渡り歩いてきたアンチェロッティならではの内容となっており、アンチェロッティが監督として何を考え、行ってきたかその一端がわかります。

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内容

本書の内容は

  1. 監督になった決断
  2. トレーナーからコーチへ
  3. システムとその解釈
  4. レッジーナでの監督デビュー
  5. パルマでの飛躍
  6. ユヴェントスでの経験
  7. ミランとクリスマスツリー
  8. チェルシーとイングランドサッカー
  9. パリサンジェルマンとフランスサッカー
  10. キャリアでの印象深い10試合
  11. レアル・マドリードについてインタビュー

という章立てになっています。

上に書いた通り戦術論とは言うが戦術に限らず、その試合で何を考えどんな采配をしたか、日々のトレーニング、チームマネジメント、フロントとの関係、その国々のサッカー文化等が綴られています。

例えばユヴェントス時代には「他の選手なら遅刻したら待たずに出発する上に高額の罰金が科されるアウェーへの遠征も、ジダンが来なければ1時間でも到着を待ったものだ」という程いかにジダンという存在が特別でチームの出発点であったか、2007年のチャンピオンズリーグ決勝では「眼光と振る舞いに特別なものがあることに気付いた」という半ば勘でインザーギを先発起用、そのインザーギがゴールを決めビッグいやーを獲得したなどビッグクラブの指揮官だからこそ書けるエピソードが語られています。
他にもコンディショニングを考えたトレーニング計画や試合後に相手チームの監督やスタッフと交流するイングランド独特の風習やメディア対応の違いなど一サッカーファンとして興味深かったです。

 

反面スケジューリングにせよ采配にせよプロの環境や選手の話で、例えば少年サッカーのコーチがこの本を読んでも活かせる部分はあまり多くないかもしれません。
それでも選手とのコミュニケーションやカウンターやポゼッションの原則など参考になる点もあるのではないかと思います。

ちなみに2014年出版なのでバイエルンミュンヘンでの事は当然書かれておらず、レアル・マドリードについても最後のインタビューで触れられているのみです。

選手と違って観客からは考えや具体的に何をやっているのかが見え辛い監督という存在ですが、
そういった観客から見えないトップクラス監督の裏側を知るのに最適の一冊です。

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