イングランド・プレミアリーグにおける監督の特殊性 「マネージャー」の意味とは

サッカーにおいて監督の重要性は世界中どこでも同じですが、その呼び方は当然ながら国によって違います。
日本では監督、スペインならテクニコ(tenico)、イタリアならアレナトーレ(allenatore)といった具合です。
英語圏では通常コーチ(coach)あるいはヘッドコーチ(head coach)と呼びますが、英語圏の中でもイングランドだけは監督をマネージャー(manager)と呼びます。
そしてイングランドにおける監督の特殊性はその呼び名だけではありません。ここではその特殊性について書いていきます。

スポンサーリンク

「マネージャー」の意味

日本ではマネージャーという言葉は場面によって違う意味で使われています。
例えば芸能人のスケジュール管理等をするマネージャーがいますが、スポーツでは部活の雑用係的な役職に対して使われています。
元々英語では「経営者」「最高責任者」といった意味で、日本での使われ方はある種の和製英語と言えるでしょう。
イングランドでも当然「責任者」という意味になります。

それが何を意味するかというと、イングランドでは監督というのは単にチームを指揮するだけでなく
組織全体のマネジメントも行う正に責任者のことを指します。
チームによってその権限は異なりますが、場合によっては予算を含めた全権を握ることもあります。
典型的な例はマンチェスターユナイテッドとアーセナルで、例えばアーセナルではアーセン・ヴェンゲルが長期政権を築いていますが選手補強と関連してしばしばクラブの財務状況に言及していました。
また、ユナイテッドではファーガソン、モイーズ、ファン・ハール、モウリーニョとそれぞれが自分と関係の深い選手を連れてきたりと他の国と比べ選手獲得について監督の要望がそのまま反映されています。
これはイングランド特有で、他の国では監督がクラブの財務なんて気にしませんし欲しい選手が取れるとは限らず特にイタリアなどではオーナーの現場介入に振り回されることもしばしばです。

地域レベルの小さなクラブでは監督がマーケティングに関わることすらあるそうです。

イングランドで監督の権限が大きい理由

では何故イングランドではこの様に監督の権限が大きいのでしょうか。
イタリア、スペイン、イングランド、フランスと数々の国で監督を務めたカルロ・アンチェロッティは著書の
『アンチェロッティの完全戦術論』の中で、

イングランドのクラブは通常一人のオーナーではなく数多くの株主がいて、
入れ替わりも激しく筆頭株主が海外にいることも多い。
そうした中でクラブ運営の一貫性を保つため監督に全権を与えるのだ、と述べています。

確かに例に挙げたマンチェスターユナイテッドは株式市場に上場していますし、比べてファーガソンや
ヴェンゲルの様に一人の監督が長期政権を築く例がイタリア等と比べて多くなっています。
逆にチェルシーのアブラモビッチのように一人のオーナーの存在が強い場合にはイングランドでも監督の権限は小さくなることになります。

対極のアメリカンスポーツ

これが分業文化の強いアメリカだと全くの逆で、権限を複数の人間に分散する傾向があります。
例えば野球では組織面でのマネジメントを行うゼネラルマネージャーと現場の指揮官であるフィールディングマネージャー(コーチ、監督)ではっきり役割が分担されています。
プレミアリーグでは選手獲得から契約更改まで監督が主導するのに対し、アメリカではそれらはあくまでゼネラルマネージャーの仕事となります。

まとめ

プレミアリーグにおける監督の名称、権限とその背景をまとめて他の国と比べてみました。
監督ひとつとっても呼び方や権限、役割まで国によって大きく異なることがわかりますね。

スポンサーリンク