「ユース出身の選手より部活出身の選手の方が結果を出す」は本当か――ユースと高体連について

2017年7月28日

今日は数日ぶりにサッカーについてです。
最近はそんなに聞かないような気もしますが、育成年代でユースを選択する選手が増え、年代別代表でもユースからの選出の割合が上がるにつれて「ユース出身の選手は高体連出身と比べてメンタルが弱い」「高体連出身の方が結果を出せる」といった意見が少なからず聞こえてくるようになりました。
その根拠としては「高校の方がより人数が多い中で競争を勝ち抜いてきたから」、「高校の方が走り込みなどフィジカルトレーニングが激しく根性が鍛えられる」といった理屈のようです。

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練習内容に関しては実際の所はわかりませんが、検証のためまず日本代表におけるユース出身選手の割合の推移を調べてみました。
基本的に代表というのはクラブで優れた活躍をした選手ほど選ばれやすいものなので、そこに選ばれた選手は育成年代だけでなくプロの舞台でも活躍していることになります。
従って部活がユースより優れているなら育成年代でユースが勢力を伸ばしてもA代表では部活組が多く選ばれているはずであり、逆にユース出身の数が増えているのであれば特に部活側がユースより優れていると言える証拠はないと言えるのではないかと思います。

A代表におけるユース出身の人数の推移

そして調べた結果以下のようになりました。
例には各ワールドカップの最終メンバー及び先日発表された最新のメンバーを選びました。

A代表

1998
呂比須ワグナーはブラジル育ちのため除外

2002
稲本潤一 宮本恒靖 明神智和 曽ヶ端準

2006
宮本恒靖 茂庭照幸 駒野友一 稲本潤一 大黒将志

2010
阿部勇樹 駒野友一 森本貴幸(ユース所属なしでトップチーム昇格)稲本潤一

2014
酒井高徳 清武弘嗣 香川真司(Jクラブではない)柿谷曜一朗 西川周作 山口蛍 齋藤学 酒井宏樹 吉田麻也 権田修一

2017現在
中村航輔 吉田麻也 酒井宏樹 酒井高徳 昌子源 槙野智章 宇賀神友弥 香川真司 山口蛍 井手口陽介 加藤恒平 倉田秋 久保裕也 原口元気

以上の通り、2014年から急激にユース出身者が増えています。
これは丁度部活組に対するユースの優位がはっきりしてきた2000年代当時の子供達が、プロに入って活躍しだした時期ということでしょう。
A代表に選ばれるからにはクラブでそれなりの実績を残しているわけで、実際上の面子を見てもクラブや代表でのプレーで特別部活出身の選手に劣っているとは思えません。
つまりこれを見る限りでは「ユースは勝負強い選手を育てられていない」といった批判は当たらないように思います。



なぜそのような風潮が生まれたか

では、なぜそういったイメージが付いてしまったのか。
これはいくつか理由があると思いますが、まず2010年には既に育成年代でユースが強くなってからかなり経っていたにも関わらずA代表に入るユース出身の選手が少なかったこと、決勝トーナメントに進んだ南アワールドカップで特に活躍した本田選手がユースに昇格できなかった部活出身者だったことが挙げられます。

次に、いざユース出身の選手が一気に増えた2014年のブラジルワールドカップで惨敗してしまったこと、育成年代でもユース組が年代別代表に多く選ばれるようになるにつれてU-20ワールドカップの出場権を4大会連続で逃すなど不本意な成績に終わることが増えたことなどもそういったイメージを助長したと思われます。
しかしこれらに関してはまだ部活出身がほとんどだった2006年のドイツでもブラジルと似たような成績でしたし、アジアのサッカーのレベルが上がっていることを考慮に入れていません。また知っての通り今年は久々にU-20ワールドカップに出場し本大会でもベスト16と決して悪くはない成績を収めましたのでユースを責める根拠にとしては合理性に欠けます。

まとめ

以上のことから漠然とした高体連出身の方がプロで活躍するならいい、というイメージは誤ったものだと言えるでしょう。

もっとも、高円宮杯で高体連の青森山田高校が優勝したりと最近では上位高校は上位Jクラブにも決して負けていませんし、柏ユースのエース中村駿太選手が青森山田に転入したりと、ユースでプレー出来るにも関わらずあえて高体連を選ぶ選手も増えており少し前のような「育成年代ではユースの方が高校より上」という図式通りではなくなってきています。
従ってこれ以上ユース出身選手がA代表に増えるかというと必ずしもそうではなく、多少前後しながら今と同じくらいのバランスが続くのではないかと予想します。

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